照明の適切な明るさについて「おしゃれに暮らす明かり術」
青白い光とオレンジの光をうまく使い分ける
太古の時代から、人間は朝日を浴びて目を覚まし、昼の青白い太陽の光の下で働いてきました。そして赤みがかった温かな夕焼けの光とともに帰路につき、体を休めてきたのです。 日中のように青白い光を浴びれぱ、脳も活性化され活動的になり。赤みを帯びた光を浴びれば、夕焼けや焚き火の炎を見るかのように、脳もリラックスモードになります。
このように、長い間に私たち人間の体には光の指令ヘの反応が無意識の本能として埋め込まれています。電気が発明され、夜も昼と同じように活動できるようになった現在も、この本能に変わりはありません。色味が異なる光を浴びるたびに、私たちの脳は目で入ってきた情報をもとに無意識にスイッチの“ON/OFF”の切り替えが行なわれているのです。
では、色味だけを気にすれば良いのか?「それだけではダメです!」部屋には適切な明るさがあります、さらに言えば、明るさや色味、照明の高さを上手く使い分けないと、おしゃれで快適な部屋になりません。ちょっとした豆知識みたいなものなので、詳しく見ていきましょう。
アッキーレ・カスティリオーニによるフロアスタンド。まるで光る柱のようなデザインの「STYLOS」は部屋のアクセント照明としての役割と共に、コーナーや壁面を照らす事で、空間の広がりを感じさせてくれます。
『天井の照明1つで出来るだけ明るく』というお部屋にされている方がいられませんか?
上からの強い光というものは脳が昼間の日光だと勘違いして体内時計が乱れたり、寝つきが悪くなったりします。天井からの照明の明るさはやや暗めにして、"部分照明"を使って横からの光で部屋の明るさを補うと、脳もリラックスして落ち着きます。
たとえば、暖炉の明かりというのはすごく落ち着くと思いませんか?上からの強い光は目が覚め活動的に、横からのフワッとした明かりはリラックス効果を高めます。ですから、ホテルやリラクゼーション施設などでは部分照明が多様されているのです。
照明は明るすぎず柔らかな光が理想です。
照明の明るさについては部屋の広さや天井の高さ、壁や家具の色、また設置する場所などの条件によって異なります。では、どれぐらいの明るさを選べば失敗がないか、そこで一般的な適用畳数の目安を下記の表にしました。これをもとに全般照明などを選ぶ際に調光器を使用して明るさを調節できるようにしておくと、よりイメージに合ったライティングが楽しめるはずです。
※蛍光ランプやLEDランプは調光器が使えるものと使えないものがあります。
※ご使用になる照明の合計ワット数でお考えください。
※100 W以下の1灯の照明器具は、玄関/廊下/小部屋などで使ってください。壁スイッチだけでの操作が主になります。
※照明のデザインによって光の方向や光の届く距離が違うので、それも考慮して選ぶのが良い照明器具を選ぶコツです。
白熱ランプ | |
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温かみのある暖色系の光。穏やかな安らぎイメージ。くつろぎ空間向き。蛍光ランプよりも安価。白熱ランプには影を強く出すクリア電球と、影を弱めるフロスト(ホワイト)ランプがあります。他のランプに比べると安価です。 |
蛍光ランプ | |
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クール色の寒色系の光。活動的でいきいきしたイメージ。視作業の場所向き。蛍光ランプには白っぽい色の白色や昼白色、白熱ランプに近い色の電球色などの種類があります。白熱ランプに比べ長寿命で低消費電力。 |
LEDランプ | |
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他のランプより圧倒的長寿命。消費電力は蛍光ランプとあまり差はありませんが、明るくなるまでに時間がかからない、紫外線を出さないため虫が寄り付かない、など利点も多い。白熱ランプに近い色の電球色などの種類もあります。 |
照明の明かりの色によってもお部屋の印象は変わります。光の色というのは私たちの心に直接働きかけるもの。
たとえばオレンジ色の光は心を落ち着かせ、ホワイト色の光は活動的な気持ちにさせると言われています。
リラックスしたい寝室には温かみのある暖色系の光、多目的に使われるリビングでは暖色系の光とクール色の寒色系の光を備えて切り替えてみたり、色の心理効果も上手に活用してみてください。
照明器具の種類によって、ランプが変更できない機種があるので購入時に注意して下さい。
間接照明を使って柔らかい光にする
間接照明は直接人に光をあてないので、そこにいる人をリラックスさせる光。目の構造上、強い光が苦手な欧米人の家では、主に間接照明が活躍しています。比較的明るい光に強い日本人は、直接照明のみを使った部屋になりがちです。でも、「くつろぎたい」と思う場所では間接照明を使ってリラツクスしましょう。
特にベッドルームや寝る前に過ごす部屋などでは、光の刺激を受けず夕日のようにくつろぐ光の中で過ごすことが安眠のコツです。光の色も夕日のようなオレンジ色を選らべば、不眠症とはサヨナラできますよ。高齢者や子どものお部屋でも、寝る前(2時間前)には直接照明から間接照明に切り替えて、明るさを落としてやれば、自然に眠たくなり寝てしまいます。
また、リビングにも間接照明はおすすめ。家族みんなでワイワイと騒ぐ時間は直接照明。お子さんを寝かせたいとき、大人がゆったりと会話をしたいときは間接照明に切り替えられるようにすると、雰囲気を手軽に変えられて便 利です。ダイニング、廊下、玄関もお好みで間接照明をとりいれれば、高級感がでますよ。
目にやさしいくつろぎのリビングにする
テレビで映画鑑賞を楽しみたいときも注意が必要。映画館気分で部屋を真っ暗にして映画を観ることは、実は目に すごく負荷がかかっているんです。映画館のスクリーンに比べて家のテレビ画面は小さいので、どうしても画面の周りも視野に入ります。すると、目の瞳孔は周りの暗い場所に合わせて大きくなったり、画面を見て小さくなったりを繰り返してしまう。それが目ヘの負担になり、視力低下や目の疲労感による頭痛などを引き起こしてしまうんです。
そこで、テレビの後ろに明かりを設置。壁を明るく照らすだけで、目の負担が減るばかりか、お部屋の雰囲気もグレードアツプします! 加えて、くつろぎの雰囲気づくりは、天井のシーリングライトの明かりを落として、テーブルの上やソファの下などに明かりを置いてみましょう。目線より下の明かりは人をリラツクスさせる光。水平線に沈みかけた夕日や焚き火を連想させ、私たちの心を解きほぐしてくれます。さらに壁にも光をあてるだけで、いつものお部屋がグーンと広くなったように感じられます。これで目に心地よいうえに、とことんリラツクスできるリビングの完成です。お部屋の雰囲気だけでなく、あなたの気分もずいぶんと変わるはずですよ。